クールになれないハッキングシミュレーション『Hacknet』




はじめに

ハッカーと聞いて皆がイメージするのはどんな姿だろうか。
PCを前にキーボードをカタカタと鳴らし、ッターンとEnterキーを打ち鳴らしたら
どこかの誰かのPCを乗っ取っている。そして本人は余裕の表情でほほ笑んでいる。

こんな姿ではないだろうか。
そしてHacknetはそのような体験をする疑似ハッキングシミュレーションゲームだ。

……嘘である。
Hacknetで行われるハッキングはどうやら、かなりリアルに寄せた作りらしい。
少なくとも、余裕の表情を浮かべることができる時間は決して多くない。
だがそれこそがHacknetの面白さだと思う。

紹介の早見について

何か物を紹介するとき、「こんな方にお勧め!」といった文言をよく見るが、
筆者はそれでは「こうじゃないんならやめとけ!」という意味にもとられかねないと思っている。
なのである程度段階的に、「向いている人度」のような形でお勧めしていこうと思う。
下記に「こんな人」と記号を合わせて記載する。意味はこうだ。

是非ともやるべき。知り合いだったら誕生日とかにギフトで送り付ける。
楽しめるはず。知り合いなら何かにつけて話題に出す。
保証はしない。「普段と毛色の違うものを遊びたい」って言ってたら勧めるかも。
× 多分向いてない。よっぽど暇でなければ話題にしない。

ではやっていく。

ハッカーを気取って学校のローカルネットワークを徘徊し、教師のPCを見つけたりしてた人
RPGなどで、フレーバーも含めてあらゆる情報を集めつくすのが好きな人
Linuxを触ったりプログラムをやったりして、PC・インターネットの仕組みを理解して
それを楽しんでいる人
普段はパズルゲームをやっている人
RPGで、ロールプレイをちゃんとやっている人
× 格ゲーだ!アクションだ!パンチ!キック!暴力!って人

あらすじ

あらすじは多くのレビューによって解説されているが一応記しておく。
主人公の素性は一切不明。少なくともハッキングの経験はまだ浅い人間だと言える。
(「まだ覚えたての新米ハッカー」や「中古PCを買ったばかりの、何も知らない一般人」辺りを勝手に設定してロールプレイすると楽しい。)
主人公の元へ1通のメールが届く。送信者は”Bit”と名乗るハッカーだ。

「君がこれを読んでいるのなら、私はすでに死んでいる」

これを読んで間もなくチュートリアルが始まる。
これから君が操作するゲーム画面というのは、仮想マシン(PCの中にPCを作る、実在する技術)上で動く
「HacknetOS」というOSの画面……ということになっている。その使い方を学習するわけだ。

どうやらBitは、HacknetOSが抱える問題の解決を君にさせるために、色々と教えたいようだ。

Hacknetとは?

ハッキングしている画面。地味だが操作する本人は非常にハラハラする。

本作はハッキングシミュレーションというジャンルとされているが、
「結局のところゲームとしては何をするんだ?」という疑問はこれでは解決されないだろう。
Hacknetをゲームとして分解すると、下記のようになると筆者は考えている。

謎解き(≒探索)×ストラテジー=Hacknet

一つずつ、と言っても2つしかないが解説していこう。

①謎解き(≒探索)

Hacknetにおける問題解決は、いつだって好奇心と発想力によって行われる。
そしてハッカーにとってツールと同じくらい重要な武器に「情報」がある。
好奇心によって情報を集め、発想力で情報を活用する。これがHacknetでの謎解きだ。
ハックしたマシンに面白い情報は無いか?その面白い情報は何に使えそうか?
さらに多くの情報を得るには、今持っている情報と手段で何をすればよいか?
考える事柄が常に、あらゆる所から芋づる式に出てくるような、そんな探索が楽しめる。

②ストラテジー

Wikipediaによると、

ストラテジーゲームは、コンピュータゲームのジャンルの一つで、勝利のために熟考し計画を練ることに焦点を置いたもの。

と定義されている。
このように表現してしまうと、謎解きも一種のストラテジーゲームと言える。
だがここでは、「時間内での効率を重視して動く」「物事の優先順位を判断して行動する」
といった、いわばRTSのようなニュアンスを加えてストラテジーとしている。そういった要素もHacknetには存在する。

それはひとえに「時間制限がかかる」という一要素によって発生している。
強いセキュリティが有るマシンや、ハッカーのマシンに侵入を試みる時、相手も黙って眺めているわけではない。
プレイヤーのマシンを突き止めて反撃をするべく、トレースを試みてくる。それが制限時間という形でゲームに反映されているのだ。

制限時間内にハッキングを成功させるには、持っているツールをただぶつけても上手くはいかない。
もしハッキングに成功したとしても、必要な情報が抜き取れなければ意味が無い。
そういった部分を解決するために、戦略的な考え方も必要になる。

ハッカーに攻撃されるとこんな画面にもなる。この画面から復旧するまでが真のチュートリアルだろう。

最後に

戦略的に障害を乗り越え、目当ての情報をスマートに引き出せたとき、
貴方の顔に浮かぶのはステレオタイプなハッカーの余裕の表情ではなく、歓喜の表情とガッツポーズだ。

Hacknetに広がる電脳空間は広大だ。最初は小さく感じるかもしれないが、
貴方がハッカーとして成長していくたび、徐々に貴方の縄張りは広がっていく。
そして気づいたころには、貴方はあらゆるネットワークを自由に駆け巡る凄腕と化している。
メインストーリーを終えた後のノードマップを見れば感動もひとしおだろう。

そんな達成感を、是非とも味わってほしい。