『Opus Magnum』死に場所を求める全てのパズルゲーマーへ




突然だが、「頑張ればギリギリ解けそうな無理難題」と聞いて、貴方は何を思うだろうか?
仕事や学業であれば御免こうむりたいと思う人が多いのではないだろうか。
しかしそれがゲームであったら?「一度は試してみるか」となる人がいるのではないだろうか。
そしてゲームの場合、一度試して無理であれば諦めるし、イケそうな気がすればやり方を変えて再挑戦するだろう。
そうやって努力し、クリアと共に得られる達成感は、ゲームそのものの一つの醍醐味だと筆者は考えている。

今回紹介するOpus Magnumは、そんなゲームの醍醐味を無限に味わえるような、とびっきりの達成感ジャンキーへ向けたゲームである。

落ちモノではない、もじぴったんのようなパズルゲームが好きな人
サンドボックスゲームで、やたらとギミックの凝ったものを作る人
直感で問題解決することを好む人
× 格ゲーだ!アクションだ!パンチ!キック!暴力!って人

錬金術の作り方

Opus Magnumは、錬金術をモチーフとしたパズルゲームである。
ヘックスタイル上に原料と様々な機械(原料を移動させたり、結合させたり、変質させたりする)を設置し、目的の物質を作り出す。
それらの機械はプログラムした動きを延々とループして稼働する。
もちろんこのプログラムも自分で作るのだ。

Opus Magnumは、こういったパズルゲームにありがちな「機械の制限」「スペースの制限」
といったものが殆ど無い、という大きな特徴がある(残念ながら使える原料には制限が有る)。

つまりプレイヤーは問題を解く際、好きなだけ機械を投入してもいいし、無限に近い広大なスペースを自由に使って構わない。
それならどんな問題だって簡単に解けるじゃないかと思うかもしれない。
そう思うなら是非ともプレイして、その考えを打ち砕かれてほしい。

回答の自由度が高いということは、それだけ難しいお題が待っているということだ。
ネタバレになってしまうが、問題をいくつか紹介しよう。

まずは序盤のこの問題である。
2色のピースを組み合わせて、右に置いたような成果物を作り上げる。左に置いたものが原料だ。
原料に白色のピースが無いと思うかもしれないが、ピースを白の物に変質させる装置が存在する。
それを使えば赤いピースを白に変えることができる。成果物の構造は単純であるから、この問題自体は簡単な部類だ。

回答がこちらである。あくまで私の回答なので、当然他の解き方でも回答可能だ。

そして回答を一つ完成させると、このような画面が表示される。

これは他プレイヤーが作った回答の「コスト」「サイクル」「エリア」の分布図だ。
自分の回答の位置が縦線であらわされる。つまりどういうことかというと、この画面を見ることで
「自分よりも安いコストで回答したプレイヤーがいる」
「自分よりも少ない手順で回答したプレイヤーがいる」
「自分よりもコンパクトな機構で回答したプレイヤーがいる」ということがわかるのだ。

もうお分かりだろう。このゲームは問題そのものの難易度も存在するが、
「より良い回答を求めて改善していく」ということも要求されるのだ。
一つ回答を作ればその問題自体はクリアであるから、ゲームを進めるのに支障はない。
しかし「自分の回答よりもスマートな解き方が存在する」と知って挑戦しないパズルゲーマーは恐らくいないだろう。
一つの問題で何度も遊ぶことができる、というところがこのゲームの素晴らしさの一つである。

そして沼底へ

より良い回答を求める難しさもさることながら、そもそもの問題の難易度だって無視できない。
次はこちらの、中盤に登場する問題だ。なんだかずいぶんと横に長いことがわかる。
これは「延々と続く一続きの成果物を作れ」というお題である。
これに初めて直面した時「どーやって作るんだこんなん」と思ったのは筆者だけではないと思う。
しかし問題が存在するという事は、当然ながら回答も存在する。
このようなパッと見解き方のわからないものでも、作り始めればそれっぽいものが作り出せる。

それはきっとまだまだ不完全で解答には程遠く、山のように問題点がある代物だろう。
しかしその問題点は、よく考えれば一つ一つ解決していけそうなものだったりするのだ。
それらの課題を解決していく快感、解答にこぎ着けた時の達成感。
そしてほぼ同時に知る、より良い解答の存在と自らの解答の問題点。
これに挑戦意欲が沸いてくれば、もう立派にこのゲームの中毒者である。

ご丁寧にも二角取りのようなミニゲームまで用意されているので、息抜きすらこのゲーム中で賄えてしまう。
因みに本作は、筆者の引越し直前の貴重な100時間ほどを消し飛ばした前科がある。
時間泥棒である事は保証しよう。

ストーリー中の問題を全て、満足いくまで楽しんだという廃人の方へのサポートも万全だ。
「ジャーナル」と呼ばれる、ぶっ飛んだ難易度の問題が定期更新されるページが存在する。
なんならここで、自分で問題を作ることもできる。

私を含めた全人類のパズルゲーマーはきっと、ここを墓場にできるのではないかと思っている。
死に場所を求めるパズルゲーマーには是非とも訪れてほしい。