僕たちは小学校、あるいは幼稚園、保育園等で数について学びます。
0,1,2,3…のように数字の形や順番などです。
そして1+1=2、3-2=1のような計算というものは、数字を知識として理解した後に学ぶわけです。
ではそれらを学ぶ以前、そもそも数という存在を知らない状態で計算はできるのでしょうか。
言い換えると赤ちゃんに計算はできるのかというお話。
スクリーンを使った実験
結果を言うと赤ちゃんでも1+1や2-1など簡単な計算は可能です。
一般的に乳児は予期していた事象より、予期していない事象に対して反応を示す傾向があります。
ウィン(Wynn,1992)はこの傾向を利用して5ヶ月時の乳児に計算能力があるかを調べました。
研究には「期待背反法」というものを用います。
足し算の実験
①赤ちゃんの前に人形を置く
②スクリーンを立て、人形を見えないようにする
③スクリーンの裏にもう1つ人形を置く様子を見せる。
②スクリーンを立て、人形を見えないようにする
③スクリーンの裏にもう1つ人形を置く様子を見せる。
ここまでで、スクリーンの裏には人形が2つあることになります。
次にスクリーンを取り除き、赤ちゃんに以下の結果を呈示します。
結果a.人形が2つの場合(本来あるはずの人形の数)
結果b.人形が1つの場合
結果b.人形が1つの場合
結果aと結果bで赤ちゃんの反応を比較すると、結果bの方が長く注視することが判明しました。
引き算の実験
①赤ちゃんの前に人形を2つ置く
②スクリーンを立て、人形を見えないようにする
③スクリーンの裏から1つ人形を取り除く様子を見せる。
②スクリーンを立て、人形を見えないようにする
③スクリーンの裏から1つ人形を取り除く様子を見せる。
ここまでで、スクリーンの裏には人形が1つあることになります。
次にスクリーンを取り除き、赤ちゃんに以下の結果を呈示します。
結果a’.人形が2つの場合
結果b’.人形が1つの場合(本来あるはずの人形の数)
結果b’.人形が1つの場合(本来あるはずの人形の数)
結果a’と結果b’で赤ちゃんの反応を比較すると、結果a’の方が長く注視することが判明しました。
1+1=1ではないことを分かっている
上記の実験では、どちらも本来あるはずの人形の数とは異なった場合を注視しています。
ウィンはこの結果から赤ちゃんでも1+1や2-1が計算可能であることを示しました。
僕たちは数字を知識として理解した後に計算を学びますが、実は赤ちゃんでも簡単な計算は理解しているのです。
参考文献
Wynn, K. (1992). Addition and subtraction by human infants. Nature, 358, 749–750.
Wynn, K. (1992). Addition and subtraction by human infants. Nature, 358, 749–750.